ご相談の中には、「所有者・連帯債務者が何年も前に亡くなり、今回任意売却をしたい。」というケースがあります。
通常、親が亡くなり不動産などの財産があると遺言や身内で相続の話し合いがなされ遺産分割協議書などを作成して財産の相続を決定します。
ところが、これといって財産が無い場合、不動産があっても借入(債務)がある場合などはそのままにしている事があります。
次のようなケースです。
本人(2人兄妹)が住宅購入を検討したが、所得が基準に満たなく父親が同居するとして所得の合算をして融資を受けた場合。この場合父親は連帯債務者となります。その後父は亡くなり暫くは月々の返済は問題なく支払っていたが5年を過ぎた今支払いが滞ってしまい任意売却をしたい(母は健在)。
亡くなったあとも月々の返済ができているうちは特には問題になりませんが、返済が滞っていざ任意売却をしようとすると債権者から「相続をはっきりさせてから任意売却の申し出をしてください。」と言われてしまいます。債権者にしてみれば、残った残債をいったい誰に請求したら良いのかを事前に確定しておきたいのです。
父親が亡くなった時点で相続が開始します。相続と聞くと財産を相続するというイメージがありますが、何も財産だけではなく借金も相続します。本人の兄妹は当然父親が連帯債務者になっていたとは知らず、今後父親の借金を相続するなどどは夢にも思っていなく、任意売却の書類に直ぐに署名などできません。時にこのことが任意売却の障害になることがあります。
相続には単純相続・相続放棄・限定承認の三つがあります。
単純相続は読んで字のごとく、相続放棄は、財産もあるが借金の方が多い場合に使われます。限定承認は、なくなった時点で財産・借金の額が定かでない場合に借金に見合った財産を相続するという方法です。
しかし民法第915条、924条の規定「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」
=相続の開始があったことを知った時から= つまり、亡くなってから三ヶ月では無く、その事実を知った時から三ヶ月以内にどのような相続をするのか決めることができるのです。
ですから兄妹は死後5年を経過した今でも相続放棄ができるかもしれません。それができるなら兄妹に迷惑をかけずに済むかもしれません。
家庭裁判所に相続放棄の手続きの仕方が分からない場合でもご安心ください。提携司法書士が手続きをいたします。
任意売却についての疑問や不安なことは何でもご相談ください。提携弁護士・司法書士共々皆さんの新しい一歩をスムーズに踏み出して頂けるよう願っています。