任意売却と差押

任意売却

任意売却は競売と比較して多くのメリットがありますが、債権者全ての合意がなければ行うことができません。

債権者のひとつに「国」や「地方公共団体」があります。所得税や消費税、固定資産税や市民税などを滞納すると不動産に差押の登記がなされなす。更に給与や保険を押さえられることもあります。

会社の倒産やリストラ、離婚などの理由で任意売却のご相談をいただきますが、ローン滞納の他税金の滞納をされている方が大変多い状況です。しかも90%以上は、ローン残高が不動産の価値を上回っているオーバーローン状態となっています。

国税徴収法によると

第48条 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押さえることができない。

2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

第16条 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。

つまり「超過差押及び無益な差押の禁止」や「法定納期限等以前に設定された抵当権の優先」と明確に規定されておりこれは、国税に限らず地方税もこの法律を基に運営されています。

しかし差押の解除の相談で役所に行くと、担当者は口を揃えて「全額納付していただきます」と言います。未納になっている本税は勿論、年利14%の延滞税も一括納付を求められることもあります。

この不動産は債権額が明らかに評価額を上回っており競売になると劣後である差押は一円の配当もなく裁判所の職権で差押登記が抹消されてしまいます。こちらもタダでお願いする訳ではなく、数十万円の納付で差押解除の相談をするのですがなかなか応じてくれません。中には、「競売になってみないといくらで落札されるか分らないので差押を解除できない」と、相場の倍の抵当権があるにもかかわらず言われたこともありました。

この問題は、多くの地方自治体で問題視され市議会で議論もされております。  こちらをご覧ください。

市税事務所のある担当者が、札幌市の場合、競売で配当を受けられるのは全体の5%程で差押の解除に応じず、結果回収しそこねた税金が年間1億円あると言っていたことを思い出しました。正しく無益な差押だった訳で税収不足が問題視されている昨今、もっと柔軟に対応していただきたいものです。

差押の解除が出来ずに任意売却が失敗することもあります。税金の一括納付が無理ならば分割納付をしてください。差押の登記がされても是非とも分割納付をすることをお勧めいたします。

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