今なら頭金がまったくなくても、夢のマイホームを手に入れることができる。そんな甘い謳い文句に踊らされて、Oさんがマンションを購入したのは10年前のこと。当時は結婚したばかりでまだ子供もなく、Oさんの奥さんも正社員として働く共稼ぎ夫婦でした。それまで貯めていたお金は結婚資金としてほとんど使い果たした状態で、これから頭金を二人で貯めていこうと話していた矢先に条件の良い手ごろな新築マンションをOさんは、軽い気持ちで訪れたモデルルームで熱心な営業マンから勧誘を受け、頭金のない状態でマンションの購入を決意。夫婦二人でならローンも払えるだろうと、月々10万円・ボーナス時20万円のローンを組んでマンションを購入しました。
ところが、入居して3年が経ったころに奥さんが妊娠。産後は育児休暇を取得後に復帰する予定だったものの、生まれてきたお子さんに持病があり、体がとても弱かったため退職を余儀なくされました。それと同時に、会社の業績悪化に伴ってご主人の収入も減少。ボーナスが完全にカットされてしまったのです。元々貯金がほとんどなく、夫婦で共稼ぎして返済することを念頭に計算して組まれたローンだったため、Oさんはボーナスのカットと同時にローンの返済ができなくなってしまいました。それでも購入したマンションを手放したくない一心で会社に内緒でアルバイトをしますが、そんな収入も焼け石に水。たちどころに支払いは滞り、どうすることもできなくなってしまいました。
困ったOさんは銀行のローン担当者に相談したところ、担当者から任意売却を勧められました。そこで任意売却を専門とする弊社にご相談に来られ、半年かかってマンションを売却することができました。滞納していた管理費・修繕積立金は債権者から控除してもらい、更に引越し費用として30万円を受け取って、Oさんの実家に身を寄せられました。残債の支払いに関しては、Oさんと協力し事前に債権者と協議して、無理なく少しずつ返せているとのことです。